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中島硝子工業株式会社

窓ガラスの性能値1 - 光学性能値

窓ガラスは設置環境に応じて採光性、断熱性、遮熱性といった性能が要求されます。それらを判断する為のガラスの特性値の内、今回は光学性能値について説明致します。

♦可視光線透過率(反射率)

ガラスに当たった光の内、人間の目が明るさを感知出来る光(波長:380~780nm)がガラスを透過または反射する割合です。透過率の数値が高い程日中の室内が明るくなります。5mm以下の薄いガラスの可視光線透過率は90%程度ですが、残りは可視光線反射率8%程度と可視光線吸収率2%程度と、反射の影響が大部分を占める為、多少の厚みの違いではあまり変わりません。

可視光線の重課係数は波長550nmにピークがあります。

可視光線透過率、可視光線反射率は見た目に影響する数値ですが、この値が同じガラスは見え方が全く同じになるか、というとそんなことはありません。この値はJIS R3106に従って、各波長の透過率(反射率)に視感度に応じた係数を乗じて計算されます。仮に青いガラス(波長430~480nmのみ100%透過)と緑のガラス(波長530nm~580nmのみ100%透過)と赤いガラス(波長630nm~680nmのみ100%透過) と無色のガラス(波長380nm~780nmが50%透過)を考えてみると、各ガラスの可視光線透過率は青:3.9%、緑:54.0%、赤:5.1%、無色:50%となり、緑(波長530~580nm)の影響が非常に大きいことが分かります。しかし可視光線透過率の数値だけでは各波長の光が平均的に透過する(色が無い)ガラスなのか特定の色合いがあるのかは判断出来ません。

では各波長の透過率を比較し、一致するガラスであれば見た目が全く同じなのか、というと、これもそうとは限りません。型板ガラスやフロストガラスと通常の透明ガラスを比べると、波長別の数値で比較してもほぼ一致しますが、見え方は全く異なります。型板ガラスやフロストガラスは表面の凹凸によって光の方向が変化し、透明ガラスと異なる見え方になっています。

このように可視光線透過率・可視光線反射率は室内に取り込める明るさの指標にはなりますが、この値だけでガラスの見た目が決まるわけではありません。

♦日射透過率(反射率)

ガラス面に垂直に入射した日射(波長:300~2500nm)がガラスを透過(反射)する比率です。透過率の数値が高い程ガラス越しに日差しを浴びた際のじりじり感が強くなります。

日射の重課係数は赤外線にピークがあります。

この値はJIS R3106に従って、紫外線・可視光線・近赤外線までの測定データに太陽光のスペクトルに応じた係数を乗じて計算されます。係数値をグラフ化してみると波長850nmと1000nm付近で係数が大きく、可視光線の影響は小さいように見えます。しかし実際の計算では、可視光線領域は赤外線領域の5倍のデータ量を扱う(380~780nmの範囲は10nm刻み、800nm~2100nmは50nm刻みで加重平均を求める)ため、グラフの見た目とは異なり、可視光線領域も大きく影響します。仮に可視光線 (380nm~780nm)の透過率が100%ならそれだけで日射透過率の値は51.6%になります。

従いまして遮熱性能(低い日射透過率)と採光性能(高い可視光線透過率)の両立には限度があり、それを超える遮熱性能を求める場合、明るさや色合いとのバランスを考える必要があります。


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