窓ガラスの性能値2 - 断熱性能値
♦熱貫流率(U値)
内外の気温差が1℃の場合に面積1㎡あたりを移動する熱量をワットで表した数値です。ガラスを通して伝わる時間あたりの熱量を表しており、値が小さいほど熱が伝わり難い=高断熱ということになります。
高温側の空気から低温側の空気へガラスを通して伝わる熱量を計算します。単板ガラスの場合はJIS R3107を参考に
1.空気からガラスへの熱伝達
2.ガラス内の熱伝導
3.ガラスから空気への熱伝達
の3過程の伝熱計算を行うことで求めることが出来ますが、複層ガラスでは断熱空気層の計算において、ガラスからの熱放射や内部空気層の対流を考慮する為、計算過程が複雑になります。
ガラス | 熱貫流率 |
FL3(3mmガラス) | 6.0 W/㎡・K |
FL12(12mmガラス)) | 5.7 W/㎡・K |
6mm+6mm合わせガラス | 5.5 W/㎡・K |
FL3+空気層6mm+FL3複層ガラス | 3.4 W/㎡・K |
FL3+断熱ガス16mm+LowE3 | 1.1 W/㎡・K |
FL3+断熱ガス8mm+HM+断熱ガス8mm+LowE3 | 0.7 W/㎡・K |
※FLはフロートガラス、HMはヒートミラーフィルムの略称です。
※強化ガラスの断熱性能は強化処理を行う前のガラスと変わりません。
断熱性を比較すると上表のように複層ガラスが優れており、合わせガラスや単板ガラスは厚みや構成を変えても殆ど影響しません。断熱性に優れるガラスは室内外の熱移動が小さいので、夏季の冷房、冬の暖房と季節に関係なく空調費の削減効果が期待出来ます。
U値による性能の違いを冬季の窓で考えてみると、窓から1時間あたりに逃げる熱量は
(計算条件 屋外気温:5℃、室内:22℃、窓の大きさ:2m×2m)
FL3(3mmガラス)の場合
(U値) 6.0 W/㎡・K×(ガラスサイズ) 4 ㎡×(内外温度差) 17 ℃
≒ 410 W
FL3+空気層6mm+FL3複層ガラスの場合
(U値) 3.4 W/㎡・K×(ガラスサイズ) 4 ㎡×(内外温度差) 17 ℃
≒ 230 W
となり、最も基本的な複層ガラスでも3mmの1枚ガラスと比較すると1時間あたり180Wの熱量を節約したことになります。
さらに屋外気温が-10℃になるような寒冷地では
(計算条件 屋外気温:-10℃、室内:22℃、窓の大きさ:2m×2m)
FL3+空気層6mm+FL3複層ガラスの場合
(U値) 3.4 W/㎡・K×(ガラスサイズ) 4 ㎡×(内外温度差) 32 ℃
≒ 440 W
FL3+断熱ガス8mm+HM+断熱ガス8mm+LowE3の場合
(U値) 0.7W/㎡・K×(ガラスサイズ) 4 ㎡×(内外温度差) 32 ℃
≒ 90 W
と複層ガラスであってもかなりの熱量が屋外へ逃げてしまうため、より断熱性の高いガラスの必要性が高くなります。求めた値は熱量なので、そのまま時間当たりの電気使用量が上記のW数減る、という話ではありませんが、室内から逃げる熱量を減らすことで、より少ないエネルギーで室内温度を一定に保てるようになります。また、夏季の冷房時では、熱移動の向きこそ変わりますが(熱は高温側から低温側へ移動します)、断熱性の向上によって冬季と同じように空調費を削減することが出来ます。
※本ページの説明は解りやすくするために内容を簡略化してあり、必ずしも用語の正確な意味を説明したものではありません。
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