小口加工
切断しただけのガラス端面は鋭利な刃物と同じで、素手で触れると大変危険です。またガラスにとっても尖った部分は破壊の起点となりやすく、そのままではエッジ付近の強度や外観品質を一定に保つのが困難になります。この為、当社が出荷するガラスの多くは切断面を加工して出荷しますが、サッシにはめてエッジが隠れる場合とテーブルトップのようにエッジ剥き出しで使う場合では異なる仕上げが要求されます。こういった端面の加工は小口加工と呼ばれ、加工形状と表面仕上げにいくつか種類があるのでご紹介します。
(それぞれの加工名称は当社での呼び方であり一般名称ではありません。)
加工形状の種類
・糸面
切断面の角を1mm程度削る加工で、主に怪我やガラスの欠けを防止する為に行います。小口加工の最も基本的な加工です。通常、合わせ加工や強化加工を行う場合は最低限必要になります。
・平磨き
切断面の角(上記糸面取り)と端面(コバ)の両方を削る加工で、端面を平らに仕上げます。主にガラス同士の突き合わせ面や端面剥き出しのガラスドア、ショーケースなどに使用されます。
・カマボコ
小口を丸く削り、横からみた切断面がカマボコ形になるよう加工します。面と小口の間に角がないので極上ミガキ仕上げにすると滑らかな感触になります。高級ガラステーブルのテーブルトップなどに用いられます。ガラス全体を剥き出しで使用する場合、コーナーにアール加工を行うことをお勧めします。
・斜面取り
切断面(コバ)を斜めに研磨し、反対側先端部分には糸面加工を行い、端面を斜めに仕上げます。主に装飾用途やショーケースの角など角度をつけた突き合わせ面に使用されます。
・幅広面取り
斜面取りの傾斜を浅くし、面取り幅を広くとれ、端面(コバ)に残す厚みも調節できます。主に装飾用途に用いられ、ガラスに高級感をだします。鏡の装飾にも使用されます。
表面仕上げの種類
糸面以外の平磨き、カマボコ、斜面取り、幅広面取りはガラスの用途に応じて3段階の表面仕上げが可能です。それぞれの違いを平磨きの例でご紹介します。
・アラズリ加工(つや消し加工)
研磨により小口形状を整えた状態。表面はザラザラとして白っぽく、透明感の低い仕上がりになります。主に突き合わせ面等、形状加工が主目的の用途に用いられます。
・ミガキ加工
アラズリ加工の後、ポリッシャーで仕上げてあります。光沢はありませんが白っぽさがなくなり、それなりに透明感がでます。ショーケースのように装飾性のある突き合わせ面やガラスドアなど端面剥き出しの用途に用いられます。
・極上ミガキ(鏡面加工)
ミガキ加工の後、さらにフェルトで磨いて仕上げます。表面と同じように光沢があります。反射した光で端面が輝き、小口加工の高級感が最もいかせる仕上げです。
角を落とすだけが目的の糸面加工はグラインダーによる手加工も可能ですが、その他の加工は見栄えや精度が重要となる為機械により加工を行います。硬いガラスを滑らかに仕上げる為には、水をかけながらダイヤ砥石で磨く下地処理と研磨剤を使用する仕上げ磨きを精度よく行う必要があります。
中島硝子工業株式会社
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